第3回:InDesign問題4

課題内容:自動表組みの制作

「問題4:自動表組みの制作」では、Excelデータを差し替えることで内容が自動的に更新されるカルチャースクールのスケジュール表フォーマットを制作する課題が出題されました。

【問題文全文】

この課題の問題文を確認したい方は、こちらのPDFをご覧ください。

出題の意図

ExcelデータをInDesignと連携させ、効率的に利用するための方法を問題にしました。また、段落スタイルをより活用するため、正規表現の問題もセットにしました。
InDesignでExcelデータを利用する際は、必要な部分をコピーしてInDesign上にペーストすることが多いでしょう。この方法の欠点は、元のExcel データに変更があった場合、変更箇所をInDesignにコピーし忘れる危険性があることです。
しかし、Excel のデータをInDesignの表に「リンク」させることで、元データの変更をInDesign側に容易に反映させることができます。
「リンク」といえば、画像を配置する際の標準的処理として利用されているものの、テキストデータの配置にはほとんど利用されていないのが現状です。その理由のひとつに、文字やExcelデータをリンクとして扱う際は、設定によって配置結果が異なるなど、画像データより扱いづらい点があると思います。しかし、コツさえつかめば難しいことはありません。
この課題への取り組みをきっかけにExcelとInDesignの連携機能を学び、仕事の幅が広がれば嬉しく思います。

完成見本

問題4完成見本

課題のポイントと必須技能

ExcelデータをInDesignとリンクさせるために必要な設定、手順を正確に行っているかどうかがポイントになります。必須となる設定、手順は下記の通りです。

【必須技能】

  1. 環境設定
    テキストリンクを利用するためには、InDesign環境設定メニュー/「ファイル管理」/「リンク」の「テキストおよびスプレッドシートファイルを配置するときにリンクを作成」にチェックを入れておきます。チェックがオンの状態でExcelデータを配置するとリンクされます。
  2. 読み込みオプション
    Excelデータの書式を活用するために、Excelデータ配置時の読み込みオプションで「1回だけフォーマット」を指定します。「1回だけフォーマット」は、Excelデータの初回読み込み時にのみExcelデータの書式を保持する方法で、リンクを更新した際は、Excelデータの書式に変更があっても無視されます。データ更新時、Excelの数値等のデータ変更のみ反映させ、デザイン上の更新は行いたくない場合に最適なオプションです。
    ここで間違えて「フォーマットテーブル」を指定すると、Excelデータの再リンク時に書式が書き換わってしまいますので、注意が必要です。
  3. 段落スタイル
    再リンク時にテキスト属性が変更されないよう、「1回だけフォーマット」で読み込んだExcel表のすべての書式をInDesignの段落スタイルに登録します。そしてその段落スタイルを含むセルスタイルを作成します。

この課題で一番の難所は?

  • セルスタイルを作成する際、セル内の文字が選択されているとそのセルの線の属性も登録されますが、セルスタイルに線の属性が登録されていると、再リンク時にオーバーライド(登録されたスタイルと異なる属性が含まれた状態)が発生する原因になりますので、登録されないよう注意が必要です。
  • Excelデータを更新する際、文字スタイルパネルの「なし」を選択するようにします。「なし」以外が選択されていると、データ更新時に選択した文字スタイルが適用されてしまいます。
  • 正規表現スタイルに関しては、「■講、■定、■費」を囲み文字にする際、条件部分に「■」を設定します。「講、定、費」の文字を条件に設定してしまうと、その後の文章内で「講、定、費」の文字が使用されている場合、その文字がすべて囲み文字になってしまいます。

課題出題者からのメッセージ

Excel データをInDesign で利用する際、コピー&ペーストを利用するか、リンクを利用するかは、データの更新頻度とExcelデータ作成者のスキルによります。差し替えの多いExcelデータを社内で作成し、InDesignに流用したいときに、ぜひ活用してみてください。
今回の問題のように「1回だけフォーマット」もしくは「フォーマットテーブル」でExcelデータを配置すると、Excelで入力したルビがInDesignにそのまま配置されてしまいます。InDesign上でルビを消す作業は大変なので、必ずExcel上でルビを削除してからInDesign で利用してください。

注意事項

課題解説で紹介する手法は、この課題において模範となる例であって、その内容が各社の手法と異なる場合、それを否定するものではありません。ご理解とご了承をお願いします。